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骨関節の生体内3次元動態解析

目的

人の関節の動きの研究は、これまで死体やさまざまな機器を用いてさかんに行われてきましたが、生きている人間で実際の関節がどのように動いているのか?に関しては、これまで詳しく解明されていませんでした。

私達は、からだの中の関節の動きを立体的に観察できるコンピュータを用いた解析方法(3次元MRI画像を用いたボリュームレジストレーション法といいます)を独自に開発しましたが、これによって手の関節、肩、背骨など様々な関節の動きを立体的に観ることができるようになりました。またそれらを海外の学会・論文などで詳細に報告し、国際的にも高い評価を得ています。

首の骨(頚椎・ケイツイといいます)の動きを見る1

ここでは、実際に私たちの行ってきた研究の一部をご説明いたします。まず、コンピュータ解析でできた首の骨(頚椎・ケイツイといいます)の動きを動画でご覧いただきましょう。
>> 首の骨(頚椎・ケイツイといいます)の動きを見る(動画)

これは首を回旋させた時の骨の動きです。頚椎は7つの骨から構成されています。頭蓋骨(ズガイコツ)のすぐ下にある骨を第1頚椎、そこから下に第7頚椎まで7つの骨が並んでいます。首を回旋させる場合、主な回旋の動きが第1頚椎と第2頚椎の間で行われていることは以前から言われていたのですが、これも動画を観ればひとめでわかりませんか?

首の骨(頚椎・ケイツイといいます)の動きを見る2

さらに、この動画を注意深く何度も観察してみましょう。するとどうでしょう?一つ一つの頚椎の骨は回旋しているだけではなく、前後や側方に曲げ伸ばしされていることがわかるでしょう(第1,2頚椎の動画)。頚椎を回旋させようとしているだけなのに、屈伸がともなってしまうのはなぜなのでしょう?私達の研究の結果、頚椎の骨の形が関係することがわかってきました。
>> 骨関節の生体内3次元動態解析を見る(動画)

首の骨(頚椎・ケイツイといいます)の動きを見る2

このムービーをご覧ください。いろいろな方向から観察できるように腕(上肢)を回転させてみました。皮膚の下にはこのようにたくさんの筋肉があるんですね。例えば盛り上がった肩の筋肉の構造はどうなっているんでしょう?そこには逆三角形をした名前どおりの三角筋があります。さらに肘を曲げ伸ばす筋、手首や指を曲げ伸ばす筋など本当に多くの筋肉が腕の中には収納されているのがおわかりいただけるでしょう。本当に人間の体は良く出来ていますね。
>> 上肢の動きを見る(動画)

首の骨(頚椎・ケイツイといいます)の動きを見る2

次に手の指にグーパーをさせみましょう。手の指の1本1本には第一関節、第二関節といったいくつもの小さな関節がありますが、その一つ一つの関節を曲げるまたは伸ばすために、それぞれに役目を果たしている筋肉があるんです。驚きですね。筋肉の収縮する様子をご覧になればどのようにして指が動かされているかもよくおわかりいただけると思います。
>> 手の動きを見る(動画)

このように、人間の関節の動きは一見複雑な動きにみえますが、とても理にかなったものとなっています。そして、関節の動きをこのように立体的な動画を作成することによって、誰にでもひとめで理解することができるようになりました。

私達はこれまで関節の動きを研究してきましたが、正常な関節の解析以外に、最近では関節に障害(変形性関節症、変形性脊椎症など)を持った患者様の関節の動きを解析し、それを治療に役立てることができるようになりました。障害された関節の動きを、正常な関節の動きと比較することで、関節の障害がおきる原因に迫る研究にも取り組んでいます。また、手術前と手術後の関節の動きの変化を検討することで、現在広く普及している術式(手術のやり方)や手術適応の妥当性を評価する研究にも取り組んでいます。私達はこれらの研究を通じて、臨床医の先生方に関節運動学に関する新たな知見や治療に役立つ情報を提供しています。

私達のところで開発された、からだの関節の動きを立体的に観察できる解析システム(3D-MRIを用いたボリュームレジストレーション法)について、首を左右に回旋させる動きを例に説明いたしましょう。この解析には特別の機械は必要ありません。通常の診療で用いるMRIやCTといった装置が用いられます。

骨関節の生体内3次元動態解析は、下記5つのメニューにより詳しくご説明しております。

撮影 コンピュータ解析1(セグメンテーション) コンピュータ解析2(ボリュームレジストレーション)
動態の評価 治療への応用

1.撮影

MRI撮影画像

関節の動きを解析するには、複数肢位でのMRIの撮影を行います。MRIとは磁場と電波を用いて撮影する装置で、エックス線を用いるCTと違って放射線の被曝がありません。首の回旋運動を解析する場合に、まず最大に首を右に回した位置で頭を固定し、撮影を行います。次に30度程度首を元に戻した位置で頭を固定し、次の撮影を行います。さらに30度程度首を左に回し、その位置で撮影を行います。最終的に最大の右回しから、左回しまで、30度刻みで7ポジションの撮影を行います。(クリックすると拡大イメージをご覧いただけます)

2.コンピュータ解析1(セグメンテーション)

コンピュータ解析1

撮影したMRI画像では、骨以外の筋肉や靭帯などもうつしだされます。骨、関節の解析にはまず画像の中の骨だけを選び出す必要があります(この操作をセグメンテーションといいます)。MRIもCT同様断層撮影ですから、骨を数ミリ間隔でスライスした大量の枚数の画像が撮られます。この一枚一枚にコンピュータ処理をくわえて必要な骨だけを抜き取り、立体的な骨モデルを作成します。次に、他のポジションで撮影されたMRI画像でも同様の操作を行い、骨だけの立体モデルを作成します。(クリックすると拡大イメージをご覧いただけます)

3.コンピュータ解析2(ボリュームレジストレーション)

コンピュータ解析2

あるポジションで撮影された頚椎骨モデルと別のポジションで撮影された骨モデルから、その間の骨の動きを動画として描き出すことが次に必要となります。ちょうどパラパラ漫画を作っているのと同じとご理解ください。パラパラ漫画では1枚1枚の画像は静止画像ですが、それをパラパラとページをめくっていくと動いているように見えます。私達の手法も同じで、一つ一つは静止立体画像ですが、つなぎ合わせる(間の動きを補完するともいいます)と動画にすることができるのです。
>> コンピュータ解析2の動きを見る(動画)

4.動態の評価

コンピュータで解析された骨関節の動きは単に動画として観察できるだけではありません。一つ一つの骨の動きを詳細に計測することができます。 先ほどご覧いただいた頚椎の骨の動きをもう一度観てみましょう。回旋の際に頚椎が前後にも屈曲していますが、では、何度どの方向に屈曲しているのでしょうか。 私達の開発した解析システムを用いると、これらも簡単に計測することができます。具体的には頚椎の上面(終板?といいます)のなす角度を測定します。動いている角度だけではなく、骨の重心、動きの回転軸、移動距離など知りたい項目はほとんどすべて計測が可能です。(クリックすると拡大イメージをご覧いただけます)

5.治療への応用

私達の行っている研究では関節の動きを解析していますが、関節に障害のある患者様の解析を行い、それをもとに最適の治療を行うことができるようになってきました。  ここではその代表例をご紹介いたしましょう。

関節リウマチの手関節障害への治療応用

正常の手首の動き 関節リウマチの手関節障害の治療への応用

関節リウマチは関節が障害される代表的な疾患です。日本で80万人の患者様がおられます。変形は手首の関節に多く生じますが、その障害は複雑で患者様一人ひとりで変形の程度は異なります。手術はその患者様一人ひとりの障害を考慮して、術後動きをそこなわないように行わなければなりません。しかし、これまで関節の動きを観ることができなかったために、計画を立てることができませんでした。私達の研究により、あらかじめ動きを観察でき手術計画を詳細に立てることが可能となりました。  >>動画左は正常の手首の骨の動きです。手関節には手根骨(しゅこんこつ)という8つの小さい骨があり、複雑でダイナミックに大きく動いています。一方関節リウマチの一例>>動画右では手根骨が非常に変形しているだけではなく、動きが全く正常と違っているのがおわかりいただけるでしょう。

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