ご挨拶

我が国は、平均寿命が延び、長寿国である一方、介護にかかる人的、金銭的負担が社会問題となっています。

自立した生活ができる健康寿命と平均寿命には約10年の乖離があり、健康寿命の延伸は社会的問題を解決するだけでなく幸福な人生を送ることに寄与します。

要支援となる原疾患のトップは関節疾患であり、関節疾患をいかに克服するかが整形外科の使命の一つです。

当教室においてはこれまで、工学系の技術を導入することにより単純X線画像、CT画像を用いて、骨関節の3次元形態・動態解析技術、画像内部情報を詳細に解析する技術を開発し、骨折後変形、変形性関節症に対する病態の解明と新規治療法の開発に取り組み、患者適合型インプラント、人工関節の開発を行ってきました。

また骨折後のアライメント変化が隣接関節に及ぼす影響をストレス分布、CTデータを用いた生体内骨密度変化を定量的にとらえることにより、変形性関節症発症を予見できる新規診断システム構築の可能性を見出してきました。

さらには、これまで蓄積してきた様々な骨関節疾患の画像データと解析技術に、AIを用いた自動画像診断技術を組み合わせることにより診断、解析の効率化もおこなってきました。

これらの研究から得られた成果を臨床導入することにより、関節疾患の治療成績向上と患者のQuality of life向上による健康寿命の延伸を目的として研究活動を行っています。